個人事業主と法人の違いDifference

仮想通貨の税金対策などをインターネットで調べると、よく目にする「法人設立」という言葉。

「個人事業主」と「法人」は同じもののような感じを受けますが、個人事業主と法人というのはまったく違うものです。

法人は株主などの出資者が出資をして設立するのに対し、事業となる仕事を個人で始めると個人事業主となります。

また、仮想通貨の課税に関しては税制が整っていないため、今後税制が変わった場合に
個人事業主・法人という形が、不利に働く可能性があることも頭に入れておきましょう。

個人事業主

個人事業主の場合、所轄の税務署に開業届を提出するのみで、費用も必要ありません。

税金は個人と同じ累進課税ですので、利益が4000万円を超えると所得税・住民税合わせて50%以上もの税金がかかります。

万が一廃業することになった場合、税務署に届け出を提出するのみです。

法人

法人の場合、設立する際に定款の作成や法務局に登記を行うなどの手間が必要です。

また、設立費用もおおよそ20万円~30万円程度かかります。

税金においては、法人の場合30%前後と累進課税に比べてかなり低くなります。

万が一廃業することになった場合、解散や清算の登記などの手続きに時間やお金が必要になります。

個人事業主についてAbout Solo Proprietor

個人事業主の場合、一個人として申告するよりも「経費を計上しやすい」というメリットがあります。

また、個人事業主といっても「白色事業者」と「青色事業者」の2種類があり、
それぞれで控除される税金の額や節税対策が異なってきます。

白色申告する場合

白色申告の方法はサラリーマンに最も適した申告方法と言われ、単式簿記の帳簿付けをしっかりとおこなっていれば、
経費として計上できるようです。

  • 仮想通貨取引所での取引手数料
  • 仮想通貨取引所への入出金手数料 (振込手数料など)
  • 仮想通貨投資に関する書籍代・新聞代
  • 仮想通貨投資の有料情報 (有料メルマガや有料サイトの利用料など)
  • 仮想通貨について催されるセミナーへの参加費用、移動費や宿泊費
  • 切手代

上記したものが「必要経費として計上できる可能性があるもの」となります。

経費として認められるかどうかは、あくまで仮想通貨取引と直接関係があるかどうかにより判断されます。

青色申告する場合

青色申告する場合は、開業届以外に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があり、
これを提出しなければ自動的に白色事業者として登録されます。

この青色申告の場合、経費として計上できるということだけではなく、所得額から65万円の控除を受けることができます。

ただし、決算書の作成と帳簿が複式簿記の帳簿付けとなり、かなり手間がかかるものとなっています。

また、青色申告により「雑所得」である仮想通貨の利益を「事業所得」にできる可能性もあります。

もし事業所得として認められれば、「損失を翌年に繰越」「給与所得や不動産所得などの他の所得と損益通算」が可能になります。

法人についてAbout Corporation

法人で仮想通貨取引をおこなって利益を出した場合、利益はすべて「会社の資産」になります。

つまり、「自分のお金」ではありませんので、自分のお金にするには自分自身が会社の役員となり、
会社から給与(役員報酬)をもらうといった流れが必要です。

会社の資産から収入を得る

例えば1億円の利益が会社の資産になった場合、年間500万円を自分自身の給与として20年間出し続けることが可能になります。

会社に勤めている方の場合は、例えば年間200万円の役員報酬をもらうようにすれば、会社の給料とは別に50年間収入を得続けることができます。
ただし、所得税や厚生年金などの支払いもありますので、課税分とは別に費用がかかってきます。

さらに、税理士の費用も年間約30万円ほどかかってきますので、そういった支出も頭に入れておく必要があります。

法人化のもうひとつのメリット

法人化するメリットとしてもうひとつ、「経費計上ができる」というメリットがあります。

例えば以下のような項目が、会社の経費で落とすことが可能です。

  • 通信費(電話代・プロバイダ料・携帯電話料金など)
  • 保険料(損害保険・自動車保険など)
  • 水道光熱費(一部)
  • 新聞図書費(書籍・雑誌)
  • 家賃
  • 接待交際費
  • 旅費交通費(電車・バス・タクシー代・宿泊代)

ちなみに、出張にいった場合は旅費交通費以外に「日当」を出すこともでき、さらに日当は非課税所得ですので所得税がかからないというメリットもあります。

法人設立

法人の設立には「合同会社」か「株式会社」で設立します。

将来会社を拡大したい、もしくは社員をたくさん雇いたいなど目的がある場合は株式会社が良いと思いますが、
そうでない場合合同会社で設立する方が良いでしょう。

法人税Corporate Tax

仮想通貨売買における悩みのひとつとして挙げられるのがやはり税金です。

個人で仮想通貨による利益が4000万円を超えると最大55%と、半分以上の利益を税金で納めなければなりません。

しかし、法人資産によって仮想通貨の売買を行った場合、平成30年4月1日以降の
実効税率は約30%前後と個人で売買する場合と比べると、約25%も違ってきます。

仮想通貨で5000万円の利益を出した場合の例

例えば仮想通貨で5000万円の利益を出した場合の例を見てみましょう。

個人と法人の税率の違い

上記のように、利益分が1250万円も違っていることがわかると思います。

1億円利益が出た場合だと「2500万円」、2億円利益が出れば「5000万円」と、その差額で家を建てられる金額ほども違ってきます。

仮想通貨資産を運用するなら法人の方がメリットは大きいといえるでしょう。

法人税とその税率について

法人税は「法人税」「法人事業税」「法人住民税」の3つの種類に分かれています。

法人税

法人税の税率は会社の資本金の規模や、所得総額によって異なります。

平成27年度の税制改正以降、法人税率は25.5%から23.2%まで引き下げられており、
資本金が1億円以下の中小法人に関しては、さらに税制上優遇されています。

資本金規模 所得金額 税率
1億円超 - 23.2%
1億円以下 800万円超 23.2%
800万円以下 15%
赤字企業 0 0

国税庁公式サイトより一部引用

法人事業税

法人事業税は各都道府県に納めるもので、「所得×法人事業税率」によって算出されます。

この法人事業税は資本金が1億円以下の中小法人の場合、所得金額を課税標準とした所得割のみが課せられ、
1億円を超える法人はこの所得割に加え外形標準課税という、所得金額ではなく資本金額などの
法人の外形に基づく課税が行われます。

また、法人事業税の税率は、事業所を構えている都道府県ごとに異なりますので、各都道府県のホームページでご確認ください。

例として東京都の場合は、年400万円以下の所得では、所得金額の3.4%、年400~800万円の所得では所得金額の5.1%、年800万円を超えると所得金額の6.7%がかかります。

法人住民税

法人住民税は、国税ではなく地方税として納め、金額は「法人税割」と「均等割」を足したものにより算出されます。

法人税割は、「法人税額」と「住民税率」によって計算します。

均等割は各法人の資本金などにより一律に定められており、最低でも7万円かかります。

また、東京23区以外に事業所を構えている場合、法人住民税は「道府県民税」と「市町村民税」を足し合わせた税金を納付する必要があります。

各地方自治体に納める法人住民税額は、所属する従業員数で割ることで決定します。

各種税率はとても複雑なため、顧問税理士などに相談する方が良いでしょう。

法人税の実効税率

企業の利益に対し「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の実質的な負担率のことを「法人税の実効税率」といいます。

「法人税率×(1+法人住民税率)+法人事業税率}÷(1+法人事業税率)」で算出します。

法人設立の注意点Important Point

ここまで法人のメリットについて紹介してきましたが、
注意する点やデメリットがあることも知っておきましょう。

法人アカウントでの取引が必須

法人名義で取引を行っていない場合、所得は個人に帰属されますので「雑所得」の扱いになります。

さらに、明らかに租税回避目的の法人運営とみなされた場合、重加算税が課せられ倍の税金を支払うことになります。

また、事業目的に仮想通貨に関する事業目的がない状態で仮想通貨業務を行った場合、違法業者として行政に罰せられる可能性があります。
設立時には必ず事業目的に仮想通貨に関連したものも入れるようにしましょう。

法人アカウントの場合、開設時に審査がある

法人アカウントを作る際には、必ず審査があります。

この審査に落ちた場合、同じ法人名義では再審査することもできませんので、永久に法人口座の開設ができません。

もちろん審査に落ちた理由などは決して明らかにはされませんので、確実な方法などは存在しないのですが、
法人としての信用度も重要な判断材料になると思いますので、おおよそ1000万円くらいを資本金に設定したほうがよさそうです。

利益が出なくても最低7万円の均等割が必要

仮想通貨で一切利益を得られず、会社として赤字だったとしても、
資本が1000万円以下の企業だと年間7万円(県が2万円、市が5万円)の均等割の税額を支払う必要があります。

そのため、法人化した場合は最低でも年間7万円は必ず支払わなくてはなりません。

法人銀行口座も必要

法人化して一番の悩みどころは法人銀行口座ではないでしょうか?

法人口座開設にも審査があり、メガバンクだとかなりの確率で審査落ちするとも耳にします。

そもそも設立したばかりの会社は信用などもないため仕方ない気もしますが、
法人銀行口座がないとそもそも法人アカウントから振込みができないため、必ず必要となります。

すでに個人口座を開設している銀行で、ある程度のお金を入れていれば有利に働くかもしれませんが、実際のところは銀行次第と言えます。